アルコール問答

アルコール問答 (岩波新書)

アルコール問答 (岩波新書)

いろいろとありまして、こういう本を読んでみました。アルコール中毒患者やアルコール依存の人のカウンセリングをしているお医者さんと、アルコール依存の疑いのある人とのやり取りを通して、アルコール中毒とは、アルコール依存とは何かを勉強できる本。
長文につき、以下は読みたい人だけどうぞ。
この本を読んで分かったことで意外だったのは、アルコール依存と言う症状は、毎日酒を呑むことによって、一回の飲酒量がどれだけ少なくてもいずれはたどり着いてしまう症状だということ。つまり、たくさん呑めばそれだけ早く症状が現れるし、少なければ遅いということだ。
えーっと、もうちょっと分かりやすく書くと、症状が現れる限界値(このラインを超えると症状が現れますよー、という値)が1000とすると(この値には個人差がある)、酒を呑むと1ポイント溜まるわけです。そして飲酒を続けてポイントを溜め、この値が1000に達したときに、晴れてアルコール依存となってしまうわけです。わかるかな?
このポイント制の考え方はとても分かりやすくて、たとえば一回の飲酒量にも限界値があるとして、これを100とする。で、一気に100を超える量の酒を呑んだときには急性アルコール中毒となってしまうわけです。
ただ、ほとんどの人は一回の飲酒量が適量であれば、毎日呑んでいてもこの限界値を超えることはなかなかないそうです。じゃあ適量とはどのくらいの寮を指すかというと、日本アルコール健康医学会によると、一般的な「適量」の目安は、1日に日本酒2合あるいはビール大瓶2本、ウイスキーダブル2杯程度だとか。重要なのは、限度を超えた呑み方を繰り返すことで、これが一番の問題なわけです。
で、次に面白かったのが、自分がアルコール依存かどうかを知る方法。これはもう単純明快で、「とりあえず止められるかどうか」である。しばらくの間お酒を止めてみて、それで何の問題もなければアルコール依存ではないと判断できる、ということなのだ。単純だけど、言われてみればそのとおり。つまり、仕事の後は呑まないと気が済まないとか、週に一回は呑まないと落ち着かないとか、この一杯のために生きているとかいうのは、程度の差こそあるものの、依存には違いないのだ。まぁ、お酒は好きだけど、別に飲まなくても大丈夫、という状態が望ましいわけです。
なるほどなー。僕はどうなんだろう。あんまり呑まないことを意識したことはないので分からないけども、これを機に一度自分を試してみよう。とりあえずは、1人でお酒を呑むのはしばらく止めてみようと思います。例の手術後はしばらく呑めないしね。
というわけで、お酒の呑み方について、いろいろ認識を改めることができた有意義な読書でした。対談っぽく書かれている、とても読みやすい本で、アルコール中毒の歴史など、薀蓄も書かれていて、雑学本としてもなかなか面白かったです。