逆転裁判 蘇る逆転

とりあえず、第5話「蘇る逆転」をクリアしたのでその感想を。ネタバレあるのでご注意を!

ストーリー

ボリュームはけっこうありました。2ヶ所で同時に殺人事件が起き、その事件の被害者が同一人物という、ミステリ好きとしては「お、けっこう大きな風呂敷広げたなぁ。大丈夫なのか?」と思わせるなかなかアクロバティックなネタで、かなり楽しめました。細かく突っ込めば色々と問題はあるのでしょうが、僕はそんなに気にならなかったです。
ただ、ストーリーの構成が”事件が起きて、調べていくうちに過去に起きた事件と関係があることが分かり、その真犯人が……”という感じで、第4話「逆転、そしてサヨナラ」とほとんど同じなのが難点といえば難点。僕は第5話だけをプレイしたので楽しめたけど、第4話をプレイした後だったら「またかよー」と思っていたかも。そういう意味で、逆転裁判GBAカートリッジがあればどこからでも遊べる仕様は良かったと思います。もちろん、システム的には新要素がばんばんあるので、やってて飽きるということはないのですが。

システム

本作のキモである新要素「ルミノール反応」と「指紋照合」、そして「3D証拠品」。これは今後の推理アドベンチャーゲームに革命を起こす要素だと確信しました。いままでこういった要素を持ったゲームを僕は見たことがないです。
過去の逆転裁判シリーズでは、”証拠品Aからルミノール反応が”とか”証拠品Bに付着した指紋が容疑者Cのものと一致”という程度のものだったのに比べ、自分でこれらの要素を探せるというのは想像してた以上に楽しかったです。とくに、ルミノール反応を探すのが面白い。色々な場所に試薬を噴きかけまくって(タッチペンで任意の場所をタッチする方式)、事件に関係ない血痕を探すのが楽しくてしかたない。サボテンのてっぺんで血痕を発見して「あ、誰か手を置いて流血したな」とか「なんでこんなところに鼻血の痕が!」みたいなどうでもいいのを探して遊んでました。
指紋照合は、指紋を見つけ出す一連の動作が楽しいです。タッチスクリーンをトントンとたたいて粉を振り、マイクにふぅーっと息を吹きかけて粉を飛ばすとそこに指紋が! あとは事件関係者の指紋と照合すれば、あっというまに誰の指紋か判明する。……と書くとあまり楽しげではありませんが、やってみるとこれがけっこう楽しいのですよ。このシステムが登場するのがシナリオの中盤以降で、使う場面もそんなになかったのが非常に残念です。もっと”トントンふぅー”をしたかったな。
そして「3D証拠品」。いままでは、証拠品に隠された秘密はフラグを立てて発見していくものだったの対し、今回は積極的に証拠品にアプローチして、隠された秘密を発見していくスタイルになり、自分で秘密を発見する楽しみが大幅に増していると感じました。また、証拠品を立体的に見る大仕掛け(バレバレだけど)も用意してあって、システムをシナリオにまで活用しているのには驚きました。
最後に、マイクを使って「待った!」「異議あり!」ですが、ゲーム中は試しに1、2回やってみたくらいで、ほとんど使わなかったんだけど、最後の最後で叫んでしまいました。あぁ、悔しい。あんな展開だったら、叫ばないわけにはいかないでしょう。負けました。

総評

今回NDSに移植されるにあたり、新しく1話追加して登場したわけですが、この新しく追加されたシナリオに新要素があることで、「逆転裁判」の”法廷パートに比べ、探偵パートが単調”という欠点を見事にカバーしていると感じました。”逆転裁判2”で導入され、”3”にも継承された「サイコロック」システム*1は、探偵パートにも緊張感と駆け引きの楽しさを与えてくれましたが、これが頻繁に登場するようになると「またか……」と感じていました。しかし、本作の3つの新要素は、こちらから積極的に活用することで発見の喜びを味わえるので、「サイコロック」の楽しさを上回ってかなりの好感触を得ました。このシリーズがこの先も続くのだとしたら、このシステムはずっと継承していって貰いたいものです。
シナリオ的には何も言うことはありません。2転3転大逆転のシナリオには大満足で、このシナリオのために買った甲斐がありました。ただ、今後これだけのクォリティを保ってシリーズを続けていくのは困難でしょうから、続編は出て欲しいような欲しくないような複雑な心境です。この際、追加シナリオカートリッジという形で、1話ずつ小出しにしていくのもいいな、なんて思ったりもしました。どうですかね、カプコンさん?
まぁそんなわけで、NDS持ってるならだまされたと思ってやってみてください。というか、このゲームのためにNDSを買ってもいいくらいです。あいかわらずこの話題になるとちょっとイタくて申し訳ありませんが、そのくらいオススメということで、カンベンして下さい。では。

*1:探偵パートで登場するシステムで、事件の関係者が質問に対して隠していることがあると、いくつかの錠前が現れる。証拠品を「つきつける」ことで嘘や矛盾を見破っていくと錠前が開錠されて行き、すべて開錠すると隠していることを聞くことができるようになるシステム。