本当に怖い医療費

たけしの番組で医療費についての特集をしていたので、いち医療事務員として見てたらば、「医療費が安く済むのはどっち?」なコーナーが。
いやー。いちおう全問正解できました。良かった良かった。
 
それにしても、この番組の金額の出し方はズルイ。
というのも、病気にかかったときの生涯医療費を紹介するコーナーは、保険適用分を引かない、全額自己負担した場合の金額を提示している。もちろんすげぇ高額になってゲストは震え上がる。
それに対して、医療費を節約する方法を紹介するコーナーでは、保険適用分を差し引いた3割負担での金額を提示して、お得感を演出。スタジオも「え? そんなに安く済むの?」という雰囲気。
待てと。
たしかに計算は間違ってないのだろうけど、前のコーナーと後のコーナーで、計算方法が違うじゃないか。つまり、同じ10,000円の診療費を説明するのに、片や全額、片や3割分という算出方法。「治療費2,000万!」といっても実際は600万なのだ。さらに医療費を安く抑える「高額療養費」制度を使えばもっと安く済む。でもそれについての説明はサラっと済ませた。なんでやねん。それをもっと深く掘り下げて説明せんかい。そこが一番医療費下げるポイントやろがい!*1
いくらテレビ番組だとはいえ、もうちょっと公平にやって欲しい。刺激があればいいってもんでもないだろう。
 
「病気になったら医療費が高くつくから、病気になる前に予防を心がけよう」
 
というコンセプトなのは分かる。それをより強烈に伝えるためには、高額な部分はより高額に表現するのが有効な手法であることは認めるところではありますが、あまり誤解を生じさせるようなやり方はやめて欲しいなー。このご時世、2,000万でも600万でも与えるインパクトはそんなに変わらないと思うよ。
 
本当に医療費を安く済ませたいなら、病院や市役所、及び自分が加入している医療保険の保険者(多くの場合、保険証に問合せ先の住所や電話番号が書いてある)に相談してみることだ。高額療養費を始め、様々な制度があることを教えてくれるはずだ。自分でも調べてみよう。労せずに色々と見つかるはずだ。医療費を支援してくれる制度はたくさんあるのだ。病気になったからといって、金銭的な部分を諦めてはいけない。
 
……などと、医療事務員であるところの僕は思ってしまうのですが、みなさん御静聴ありがとうございました。

*1:いちおう「年齢と所得に応じて1割〜3割の自己負担」というテロップは金額と共に出ていた。とても小さく。