ターミナル

ストーリー:☆☆☆☆
演   出:☆☆☆☆
熱 中 度:☆☆☆
コミカル :☆☆☆☆☆
昨日観て来ました。レディースデイなんでおばちゃん率が高く(しかも、ここは大阪!)、気分よく鑑賞できるかどうかが不安でした。そこで、もしマナーのなっていない人がいたら躊躇なくキレようという決意と共に挑みましたが、その心配の必要はなく、気分良く鑑賞できました。
前回のトム&スピルバーグの「キャッチ ミー イフ ユー キャン」が面白かったので、期待を膨らませつつ鑑賞。いやー、予想以上に面白かった。"内戦で祖国を失った男"という設定以外、ほとんどの背景が分からない主人公「ビクター」を、トム・ハンクスが見事に演じておりましたよ。しかも、説明的なセリフはほとんどなしで、彼の背景(職業とか、性格とか)がなんとなく分かってしまう演出もすばらしい。この辺はさすがですな、スピルバーグ
そして、この映画でもっともすばらしいのは、内戦で祖国を失い、ビザが発行されないのでアメリカには入国できず、よって空港の乗り継ぎロビーからは出られず、持っている祖国の金は使えず、食べ物もなく、寝る場所もない、言葉も通じないし、保安局長はハゲだし、という絶望的な状況の中、寝床を作り、金を稼ぎ、言葉を覚え、友達を作り、就職し、あまつさえ恋愛までしてしまうというビクターのバイタリティの凄まじさである。自分が同じ状況になったとして、ここまでのことができるとは到底思えない。言葉を覚えるのさえおぼつかない気がする(それもどうかと思うが)。
内戦が終わるまでの9ヶ月のあいだ、ビクターはこれだけのことをするのだが、その間にだんだん空港のロビーで働く従業員のあいだで人気者になっていく(しかし保安局長とはどんどん決裂していく)。そのもっとも直接的な要因となるエピソードもすばらしく、ビクターの性格をとてもよく現している印象に残るエピソードでした。
などなど、面白かった話をしているとキリがないほど良い映画でした。観て損はないはず。ディテールがはっきりしないからダメという意見もありそうだけど、そこかしこに張り巡らされた伏線を頼りに、想像力と連想力でカバーするのが、この映画の隠れた楽しみだと思います。それだけの材料はきちんと用意されているわけですから。