作品の「重さ」と「軽さ」についてだらだらと

等身大って何だろうより。
http://blog.livedoor.jp/kunellife/archives/50270993.html
ちょっと触発されて書いてみました。私信みたいなものなので、隠しときます。
読了後に感じる「重さ」、「軽さ」とは……、ということについて、僕なりの考えを書き散らしてみます。
まず書いておきたいのは、「重い」か「軽い」かで優劣はつけられないと考えます。どちらを好むかは人それぞれだし、どちらにも小説としての魅力は溢れていると思う。
……で。
僕が読後に「重い」と感じる作品は、ディティールがしっかりしている作品ではないかと思います。つまり、世界観が緻密に描かれており、かつリアリティに溢れている作品ということ。この場合でいうリアリティとは、途中で感情移入が途切れるような違和感を感じさせないという意味でのリアリティです。
だから、宮部みゆきさんの「火車」や「理由」などはまのすごく骨太で重みがあり、ものすごい重量感があります。
逆に石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」シリーズや短編集「LAST」などは、とても軽く感じます。あまりに軽快に読めるので、それがけっこう心地よく感じたりもする。
で、これは本の薄さや作品の長さの問題では決してなく、上記のような特徴があるかどうかではないかと思う。重みを感じる作品は、物語と同時に作品の世界観やディティールの緻密さにも触れながら読むので、重量感があるんじゃないかな。読んでいる間、これらがずっしりと圧し掛かっているので、読了後に感じる開放感がそのまま「重み」だと感じるような気がする。
で、軽い作品というのは、リアリティが感じられないので、あまり深く感情移入することはないのだけれど、「物語や世界観は面白いな」という風に感じることさえできれば、読後感は「軽い」と感じても、それが「つまらない」という評価にはならない。少なくとも僕はつまらないとは思わない。そこは好みの問題だと思います。
まぁつまりは、その作品からにじみ出ている物語以上のものを読み取れるかどうか、ということなのかな。これは「できる、できない」の問題ではなく「感じる、感じない」の問題で、個人の感性の問題。だから、僕が「重い」と感じた作品を「軽い」と評価する人はいるだろうし、その逆もしかりだろう。
とはいえ、それほど読書量が多いわけではない僕なので、「それは違うよ!」という意見もあるとは思いますが、まぁ僕はこう思うってことでひとつ。ちなみに、僕は重い軽いはわりとどうでもよくて、物語が魅力的であればそれだけで楽しめる(稀に文体が合わない作家もいるけど)おめでたい人です。