ぶわーッときて、ざざーっとなって、しーん

では、僕の仕事場がどんな状況だったのかというと、医療事務のいろはだけを一ヵ月半で叩き込まれて、超巨大病院に叩き込まれた、という状況でした。えーっと、まぁ、分かりやすく言うと、簡単なコードを覚えただけで、超有名なバンドのメンバーに迎え入れられてしまった、みたいな。規模から言うとサザンクラス。もうなにがなんだか分からない。
 
最初は言われたことを、なるべく言われたとおりにこなしているだけでいっぱいいっぱいで、それでも何かしらミスる日々。あー、こういうのちょっと懐かしい、なんて思いつつも、2週間ほどしたら担当病棟を持たされて、焦る。
比較的簡単な病棟(算定に色々と気をつかうオペはあまり行われない病棟)とはいえ、DPCという特殊なシステムで算定している病院なので、ただ漫然と伝票のとおりにやってりゃあいいってわけでもなく、最初の1ヶ月はグダグダでした。
さらに、敵は僕の知識不足だけではないのだ。不備、記入漏れ、理解不能な伝票で僕を困惑する看護師、何度説明しても”症状”を”主病名”として登録して、何度も同じ説明をさせる医師(たとえば「めまい」はあくまで症状であって、それを引き起こしている何らかの「病名」があるはずで、それを主病名として登録してくれないと、入院費を算定できない。それを何度説明しても、一部の医師は何度も「めまい」を主病名として登録してくる。最近では、呆れを通り越して、大丈夫かこの医師、と心配になるほど)などの、内なる敵が仕事を邪魔するのだ。もうこればっかりは僕のスキルではどうにもならない。
 
まぁ、そういった障害はあるものの、なんだかんだで勤め始めて半年にもなれば、知識や処理速度もアップして、仕事がスムーズに進むようになってきた。とくに、飛躍的にスキルが上昇したのは、注射伝票をサバくのにかかる時間。いつも溜め込んでしまって厚さ3cmくらいになっていた注射伝票は、いまではゼロ。その日の伝票その日のうちに、がモットーです。
配属当初は50時間ほどだった残業時間も、今月はなんと20時間。おー、こりゃすごい。でも残業減った分収入が減るのでかなり複雑な気分なのですよ。あー。残業時間短縮ボーナスとかくんねーかなー。
 
で、まぁこんな感じで着実にレベルアップしていったわけですが、ここで問題発生。
あまり表立ってはいなかったけど、でも水面下ではいろいろあった部署内での確執がついに爆発したのだ。もうほんとに絵に描いたような保守派と革新派の対立がついに表面化した。1年近くにわたって溜め込んできた価値観の違いによる疎外、嫌悪、派閥争いといったストレスが、忙しさという引き鉄によっていっきに解き放たれたのだ。あの光景は噴火と言ってもいいだろう。
保守派のベテランの職員が退職宣言をし、その職員の派閥だった人はとんずら。いきなり来なくなった。ただでさえ人員の足りない部署なのに、2名の欠員が出ることになったのだ。そのときの僕の気持ちは「トホホー」だ。もう呆れてものが言えない。おい、たのむ、仕事をしてくれ。お前ら30過ぎたいい大人やろーがー! はぁ……。
 
とまぁこんな感じな半年だったわけですが。最後の方のドタバタには正直まいった。ものすごい低レベルな次元で文句を言っていて、最終的にブチ切れて退職していく様には本当に呆れた。体を壊すまで働いてどうしようもなくなって辞めたり、どう考えても僕には合わない職種だと判断して辞めたりと、辞めざるを得なくて辞めてきた僕からしたら、これありなんかいな、という状況。とはいえ、知識やスキルでは全然かなわないし、ペーペーの新人だったので何も言うこともできず、まぁ、僕はこう思うかなー的な消極的な発言しかできなかったのは残念な限りです。もうちょっとガツンと言いたかった。
 
それはともかく、僕も別な理由で退職を考えてはいます。正直言って収入がヤバイ。派遣社員として勤務しているので、とにかく給料が安い。自給は安い、残業は減らせと言われる、待遇が良くなるのは早くて3年後。ときたら、これはもう辞めるしかないヨネ! うん、辞めたい! 辞めるべき! だってもうすぐ30だもん!
というわけで、次に勤める場所を探しています。「国立病院での入院算定経験」を武器になんとか探し当てたいと思います。切に、思います!
 
しかし、人員が圧倒的に不足している現状で、いつ辞められる状況になるのか見当もつかない。ヤバい。どうなるの! どうなっちゃうの! おれーーーー!?
 
つづく!!