たんけんぼくのいえ

去年の暮れに引越しをしたのですが、元々住んでいた家に出入りできなくなるわけではなかったんですよ。なので、引越し当日に荷物を全部運んだわけではなく、すぐに必要なものだけを業者にお願いして、あとは自力でチマチマ運んでいたのです。で、ようやく荷物をあらかた運び終えたので、元家を取り壊して更地にし、売り払う準備に取り掛かったのが今日。
仕事終わりにふと、もう全部壊しちゃったのかなーと思ってその旨確認してみると、今日は足場を組んだだけとのことだったので、じゃあ最後の姿を見ておくかということで、行ってきました。それが18時。あたりは真っ暗。
家に着いたら、玄関には白いビニールシートで立ち入りできないように幕が張られ、窓ガラスはすべて取り外されており、そこはもう”家”というよりは”現場”でした。
幕をくぐってドアを引く。鍵はかかっていない。中に入ると玄関は記憶の中の感じとは幾分違う。靴を脱ごうとするが床が汚れていることに気づき、そのまま上がる。懐中電灯を照らしてリビングへ。
空虚、とでも言えばいいだろうか。
かつてあった家具やらは当然無く、据付の食器棚や照明だけが残っている。食器棚の中には工具が乱雑に置かれ、作業中であることを物語る。床には土が散乱し、土足で歩き回られたことがひと目で分かる。自分も土足であることを棚に上げ、ちょっとムッとする。
2階へ行く階段の手摺りは取り外され、いつもと勝手が違う。階段に面した壁には大きな穴が開いている。やっぱり土だらけ。階段を上って自室があったところへ行くと、張りっぱなしにしていたポスターはすべて剥がされ、画鋲だけが残っている。その他の部屋も似たようなものだった。ここはもう、かつての我が家ではないことを思い知る。
僕は変わり果てた”元”我が家を後にし、家路を急いだ。
 
いやー、これは切ない。
 
なんつーか、ちょっとこれはアレだね。キツイ。2ヶ月前まではここに住んでたかと思うと涙がちょちょぎれる気分。
もう家というよりは廃墟なんだもんなー。
ぜーんぶ打っ壊してキレイさっぱり更地にされてからだとまた感想は違ったのだろうけど、まだ荒れてるだけの元我が家は見たくはなかった。いやー切ない。
 
ありがとう。
30数年という建築物としては短い築年数だったけど、あの阪神淡路大震災に耐え、地盤が緩んで傾いたにもかかわらずよく頑張ってくれました。ほんとうにありがとう。
あとはいい値で売れてくれると両親が助かると思うので、そこんとこヨロシク。
え、それは不動産屋に言えって? そのとーり、おっしゃるとーり。