キサラギ

映画を見るとごくまれに、ものすごく美しいストーリーに出会うことがあるけれど、まさに『キサラギ』がそれ。ここで言う「美しい」とは、設定、セリフ、展開などに一切の無駄が無い、という意味での美しいということ。機能美、と言ってもいいかもしれない。
例えて言うなら、完成図を知らずにパズルを組み立てているけれど、このピースはきっとこういう絵の一部、ということは想像できるくらいには分かりやすい図柄。で、きっと完成図はこんな感じ、という想像をしながらパズルを組み立てるんだけど、だんだん完成に近づくにつれ、完成予想図とは待ったく違うものになりつつあり、それぞれのピースは当初の予想とはまったく違うものを形作る構成要素であったことが分かり、最終的には予想とはまったく異なる絵が完成するという、これを「美しい」と言わずして、何を美しいと言ってよいか分からない、とにかく「美しい」映画だったよ。
そして、全編見終わってすごくいい気持ちになっているところに流れるエンドロールの映像と曲はもう無敵の破壊力。最後の最後にそれなんか。それでええのか、そうか。まぁ、それしかないよな*1
 
ええっと、まぁ、映画の内容についてはまったく分からない感想ではあるけれど、見た人にはきっと共感して貰えるはず。そして、未見の人には公式サイトで得られる情報程度の知識で見に行くのが丁度いい感じなので、ぜひその程度の知識で見に行くべき。かなり前に公開になった映画だけど、まだまだしぶとく全国各地で上映しているようなので、近くで上映している映画館があるなら観に行ってみて。また、来年明けてすぐにDVDになるので、それで見るのもよし。とにかく見て欲しい。ほんとオススメ。泣けるよ!(?)

*1:劇場にいた年配の人は、エンドテロップ見終わる前に席を立って帰った